ヨーロッパの言語と宗派 ロマンス諸語(インド・ヨーロッパ語族イタリック語派) イタリア語、スペイン語(ブラジル以外の南米でも話される)、ポルトガル語(ブラジルでも話される)、フランス語(アフリカ西域やカナダの一部でも話される)、ルーマニア語など *ラテン語の影響が強い 北ゲルマン語群(インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派) アイスランド語、フェロー語、ノルウェー語、デンマーク語、スウェーデン語など *古ノルド語の影響が強い 西ゲルマン語群(インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派) 英語・スコットランド語・フリジア語を含むアングロ・フリジア諸語、古フランク語の影響が強い低地フランク語(オランダ語やフラマン語など)、分類が微妙で以前は低地フランク語を含んでいた低地ドイツ語(実用上はドイツの北部方言)、細かい分類が非常に多い高地ドイツ語(いわゆる標準ドイツ語を含む)など *分類が複雑 東バルト語群(インド・ヨーロッパ語族バルト・スラヴ語派) リトアニア語とラトビア語 *西バルト諸語(プロシア語などを含む)は死語になっている 東スラヴ語群(インド・ヨーロッパ語族バルト・スラヴ語派) ロシア語、ウクライナ語、ベラルーシ語など 西スラヴ語群(インド・ヨーロッパ語族バルト・スラヴ語派) チェコ語、スロバキア語、ポーランド語など 南スラヴ語群(インド・ヨーロッパ語族バルト・スラヴ語派) ブルガリア語、セルビア・クロアチア諸語、スロベニア語など *ブルガリア語に取って代わられ死語となったブルガール語は、テュルク系の言語だったらしい バルト・フィン諸語(ウラル語族フィン・ウゴル語派) フィンランド語、エストニア語、カレリア語、ハンガリー語(マジャル語)など そのほか ギリシャ語(インド・ヨーロッパ語族ヘレニック語派をなす)、アルバニア語(インド・ヨーロッパ語族アルバニア語派をなす)、アルメニア語(インド・ヨーロッパ語族としかわからない)、バスク語(系統不明)など プロテスタントが多数派となっているのは、 大陸ではデンマーク スカンジナビアのノルウェー、スウェーデン、フィンランド 島嶼部でイギリス(イングランド)、アイスランド 新大陸でアメリカ合衆国 諸勢力が拮抗しているのは、 ドイツ(カトリックとプロテスタントがほぼ拮抗) オランダ(プロテスタントも有力だがカトリックがやや優勢) ラトビア(プロテスタントが優勢だが正教も有力) スイス(カトリックがやや優勢) オーストラリア(カトリックの方が聖公会よりも優勢) ニュージーランド(カトリックと聖公会でほぼ拮抗) カトリックが多数派となっているのは、 上記以外の西ヨーロッパ(リトアニア・ポーランド・スロバキア・ハンガリー・クロアチアあたりが東端) 島嶼部でアイルランド 南北アメリカでアメリカ合衆国以外 プロテスタントが多数派を占めるのは北欧5か国と英米だけで、このうちアメリカ以外は国教会を持っている。ドイツとオランダはプロテスタントのイメージが強いが、現在の実勢はせいぜい拮抗くらい。カナダやオーストラリアの聖公会は多数派になるほどではない。ルーマニア・ブルガリア・ギリシャ・キプロスは、EU加盟の正教国。 言語系統と宗派が似通っている地域 フランス・イタリア・スペイン・ポルトガル:カトリックでロマンス語 スウェーデン・デンマーク・ノルウェー・アイスランド:プロテスタントで北ゲルマン語 ベルギー・オランダ・ルクセンブルク:カトリックで西ゲルマン語とフランス語の併用、オランダではプロテスタントも有力。 ドイツ・オーストリア・リヒテンシュタイン:ともにドイツ語だが、ドイツだけ明らかなカトリック優勢でない チェコとスロバキア:言語は非常によく似ており、カトリックが優勢なのも同じ。連邦を解消した際も平和的だったため現在の関係も良好。 フィンランドとエストニア:言語は系統的には近いがそれほど似ていない。宗教的熱意が低いのは似ている。 地理的に近いが言語や宗派に差がある地域 バルト三国:エストニアはバルト・フィン諸語で無宗教が多い。ラトビアとリトアニアは東バルト語群だが、ラトビアはプロテスタントが優勢でリトアニアはカトリック。1940年にソ連がバルト三国を占領した際、エストニアはエストニア・ソビエト社会主義共和国、ラトビアはラトビア・ソビエト社会主義共和国、リトアニアはリトアニア・ソビエト社会主義共和国として併合されたが、西側諸国の多くはこの併合を承認していない。 ポーランド・リトアニア・ベラルーシ・ウクライナ:17世紀のポーランド・リトアニア共和国。ポーランドとリトアニアではカトリックが圧倒的で、ベラルーシは正教、ウクライナは世俗的だが系統としては正教が多い。言語系統としてはウクライナ語とベラルーシ語が近縁だが、歴史的な経緯で、現在意思疎通がしやすいのはポーランド語話者とベラルーシ語話者の間。 ハンガリー・ルーマニア・ブルガリア:ともにオーストリア帝国やオスマン帝国やソ連の影響を受けた東ヨーロッパの国だが、言語はバラバラ。宗派はハンガリーがカトリック優勢で、ルーマニアとブルガリアは正教、ブルガリアにはムスリムも多い。 おもな言語圏 英語圏(Anglosphere):イギリス、北米、オーストラリア、他コモンウェルス地域を中心に多数 スペイン語圏:スペイン、中南米カリブ地域の多数、アフリカの一部 ポルトガル語圏(Lusofonia):ポルトガル、ブラジル、アフリカと島嶼国の一部 ロシア語圏:旧ソ連地域 ドイツ語圏:ドイツ・オーストリア・リヒテンシュタインなどドイツ連邦地域 フランス語圏:フランス、ヨーロッパの一部、カナダとカリブ海地域の一部、コートジボワール・カメルーン・モーリシャスなどアフリカ諸国、など アラビア語圏:アラビア半島、アフリカ北岸 余談 ポルトガルは憲法前文に社会主義を掲げている。 国立国会図書館調査及び立法考査局 調査資料2013-2 基本情報シリーズ⑮ 「各国憲法集 (8) ポルトガル憲法」を参照。 https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8426723_po_201302.pdf?contentNo=1 ただし、中国・ベトナム・ラオス・キューバ・1992年以前の北朝鮮と異なり「マルクス・レーニン主義」は掲げていない。社会主義政党が与党になっている国や、制度が社会主義的な国は他にも多数ある。また正式な国名に「社会主義」の文言が入っているのは、世界で2か国(スリランカとベトナム)だけである。