最高難度の英語の本
2022.03.13
左から、The End of the Tether(ISBN 9781534812697)、Heart of Darkness(ISBN 9781976775079)
 
ひとくちに「最高難度」とはいっても、人によってさまざまな解釈がありますが、現代英語で書かれた散文で私が「最高難度」に推すのはコンラッドです。

難しい言葉が多いだけの本は他にもありますが、コンラッドが一味違うのは、それぞれの言葉を「この表現にはこの言葉しかない」というレベルで的確に使っている点でしょう。反面、物語の中身というか、伝えている内容は大したものではなく、漱石なんかには「あそこまで凝ったことをやって中身はそれかよ」という趣旨の非難をされていますが、言葉遣いの巧みさをひたすら鑑賞するのが、この本を楽しめる読み方でしょう。また本の中身とは関係ありませんが、作者のコンラッドは英語のネイティブではなくポーランド人です。私もいち英語学習者として、驚愕と賞賛を禁じえません。

左のThe End of the Tetherは私が大学生のとき教科書になっていたもので、実物は前に手放して買い戻したのですが、単に話の筋を追うだけの読み方でも、英文科の学生が逃げ出すくらいの難しさです。実際、最初の数回で単位を諦めて、授業に出てこなくなった生徒が何人もいました。ひとつひとつの表現をしっかり楽しみながら読むには、その数倍の労力が必要です。

The Waste Land and Other Poems(ISBN 978-0-14-243731-5)

韻文部門はこれしかありません。泣く子も黙るTSエリオットです。

コンラッドは私も大学生のとき教科書として使いましたが、学部の(大学院生でない)生徒にエリオットを読ませようとする先生は、当時の英文科にはいませんでした。どうせわかりっこありません。卒業して20年くらい英語の勉強を続けていますが、今読んでもサッパリです。貸し出し対象図書ですが、中身がわからないからといって私に質問しても、助けにはなれません。これもどちらかといえば、本棚の見栄えのために置いてあるだけの本に近いでしょうか。いつか読みこなせるようになったらいいな、とは思っているのですが。

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-参考外部リンク-
The End of the Tether by Joseph Conrad@Gutenberg
The End of the Tether by Joseph Conrad@Gutenberg(朗読)
Heart of Darkness by Joseph Conrad@Gutenberg
Heart of Darkness by Joseph Conrad@Gutenberg(挿絵なし)
Heart of Darkness by Joseph Conrad@Gutenberg(朗読)
The Waste Land by T. S. Eliot@Gutenberg
The Waste Land by T. S. Eliot@Gutenberg(朗読)
日本コンラッド協会
日本T.S.エリオット協会
2022.03.13 23:16 | 固定リンク | 本の紹介

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