シェイクスピア関連の蔵書一覧
2021.01.31
個々の作品にはおいおい触れていくとして、先に蔵書の一覧を掲載しておきます。

上の段、左から順に、
シェイクスピアハンドブック(福田恆存 監修)(ISBN 4-385-35275-5)
シェイクスピアの悲劇(上下巻)(中西訳)(ISBN不明、現行本は9784003226315と9784003226322)
エリザベス朝の世界像(磯田ら訳)(ISBN 4-480-01367-9)
深読みシェイクスピア(ISBN 978-4-10-120471-0)
Shakespeare's Sonnets (ISBN 9781985801813)
Romeo and Juliet (Dover Thrift Editions)(ISBN 978-0-486-27557-4)
ロミオとジュリエット(中野訳)(ISBN 978-4-10-202001-2)
Othello (Wordsworth Classics)(ISBN 978-1-85326-018-6)
オセロー(福田訳)(ISBN 978-4-10-202002-9)
Hamlet (Cambridge School Shakespeare、Third edition)(ISBN 978-1-107-61548-9)
Hamlet (Oxford School Shakespeare、2007年改訂本)(ISBN 978-019-839906-3)
Hamlet, Prince of Denmark (The new cambridge shakespeare、Third edition)(ISBN 978-1-316-60673-5)
Hamlet (The Oxford Shakespeare、2008年復刊本、1987初版)(ISBN 978-0-19-953581-1)
ハムレット(福田訳)(ISBN 978-4-10-202003-6)
ハムレット(松岡訳)(ISBN 4-480-03301-7)
ハムレット(小田島訳)(ISBN 4-560-07023-7)
新訳 ハムレット(河合訳)(ISBN 978-4-04-210614-2)
ハムレットQ1(安西訳)(ISBN 978-4-334-75201-9)

下の段、左から順に、
The Merchant of Venice (Oxford School Shakespeare、2010年改訂本)(ISBN 978-0-19-832867-4)
ヴェニスの商人(福田訳)(ISBN 978-4-10-202004-3)
King Lear(原文現代英語対照版)(ISBN 978-0-8120-3637-4)
リア王(福田訳)(ISBN 978-4-10-202005-0)
ジュリアスシーザー(福田訳)(ISBN 978-4-10-202006-7)
マクベス(福田訳)(ISBN 978-4-10-202007-4)
夏の夜の夢・あらし(福田訳)(ISBN 978-4-10-202008-1)
テンペスト(松岡訳)(ISBN 4-480-03308-4)
A Midsummer Night's Dream (Wordsworth Classics)(ISBN 978-1-85326-030-8)
じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ(福田訳)(ISBN 978-4-10-202009-8)
アントニーとクレオパトラ(福田訳)(ISBN 978-4-10-202010-4)
リチャード三世(福田訳)(ISBN 978-4-10-202011-1)
お気に召すまま(福田訳)(ISBN 978-4-10-202012-8)
Twelfth Night(原文現代英語対照版)(ISBN 978-1-58663-851-1)
十二夜(松岡訳)(ISBN 4-480-03306-8)
十二夜(小津訳)(ISBN 4-00-322048-X)
コリオレイナス(松岡訳)(ISBN 978-4-480-03314-7)
恋の骨折り損(松岡訳)(ISBN 978-4-480-03316-1)
The Winter's Tale (Collins Classics)(ISBN 978-0-00-792548-3)
冬物語(松岡訳)(ISBN 978-4-480-03318-5)
間違いの喜劇(小田島訳)(ISBN 4-560-07005-9)
タイタス・アンドロニカス(小田島訳)(ISBN 4-560-07006-7)
トロイラスとクレシダ(小田島訳)(ISBN 978-4-560-07024-6)
ヘンリー八世(小田島訳)(ISBN 4-560-07037-7)

入れ替わった本が増えたら随時更新します。

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-参考外部リンク-
Books by Shakespeare, William@gutenberg
Books by Shakespeare (spurious and doubtful works)@gutenberg
Royal Shakespeare Company
2021.01.31 15:41 | 固定リンク | 本の紹介
「自分のタイミング」が大切
2021.01.26
それぞれの時点での「効率的な学習の進め方」について紹介します。しかしその前に「ノーミス最短コース」なんて不可能であって、目指すメリットもないということを、しっかりと確認して頂きたいと思います。それまでのやり方を見直し反省しなければならないタイミングというのがいつかは来るもので、何をどのように進めても「すべてが順調」なんてことはあり得ず、もしそういう結論が出たのなら「見直し反省する」ことに失敗しています。どうかこのことを、くれぐれも念頭に置いてください。

どれだけの賛同を得られる意見かわかりませんが、私は小学生にことさら勉強を、すくなくとも学校の勉強をさせる必要はないと考えています。学校でできなかったことわからなかったことを家庭で補う必要はあるでしょうし、次の日の授業の準備を決まった時間にするなど生活習慣の指導は有益ですが、この時期にもっとも大切なのは「悪い勉強」を強いないことです。勉強が「こなさなければならない作業」だとか「覚えたら終わるもの」だとか、まして「しなくて済むならしないだけ得なもの」だという誤解が生じると、それを解くための時間は十分あるとはいえ、膨大な根気と労力を要することになります。

中学校に入っても、1~2年生の時点で受験を意識して勉強する必要はほぼありません。数学だけは、最初から効率のよい方法で習うことにメリットがありますが、それ以外は「本人が学校で困らない程度」で十分です。事実なのではっきり言いますが、中学校のテストで何点を取ろうと、高校受験より後にはほとんど影響しません。大切なのは、初めて本格的に「学生」という身分になって、勉強を生活の中心に置かざるを得なくなった状況で、どうやって自分の生活を作るかということです。工夫することや順序良く学ぶことで、どれほど自分を楽にできるか知ることです。

中学校というのは学習の段階としてかなり特殊で、生徒によって「向き不向き」が顕著なうえ、量で押し切ることも可能です。つまり、中学校の勉強が向いている生徒ならまったく勉強しなくてもいい成績が取れますし、効率の悪い勉強でも量さえやれば(やらせれば)そこそこの結果が出ます。とても難しい状況ではありますが、私は「勉強が大変になってきたな」と本人が自覚したときが「新しい勉強」の始めどきだと思っています。それより前に周りがけしかけても、本人が必要だと思ってする努力でなければ、得るものより失うものが多くなるでしょう。

長々と説明した割に、なんのことはないごく普通の結論になりましたが、中学2年生までに限って言えば「困ってきたな」という自覚が「やり方を変えるタイミング」です。幸い田舎は高校受験のプレッシャーが緩いので、本人が学校で苦労しておらず、いわゆる難関私立や学区外受験を考えているのでなければ、体力や時間を勉強以外のことに費やして損になることはありません。もし困った教科が出てきたときは、それを「能力が劣っているからだ」と考えるのではなく、誰にでもやってくる「変えるタイミング」が、少し早めだったのだと理解するのが正解です。
歴史の本
2021.01.25
歴史の本は「当たり外れ」が大きい傾向がありますが、まなびやの蔵書のなかでもとくにお薦めできる3冊を紹介します。

ビスマルク(ISBN 978-4-12-102304-9)

どうしてこの本から紹介を始めるのか、という理由がまず大切です。歴史というのは、古過ぎても物証が乏しくなりますが、一般には「近く新しい」ほど扱いが困難になります。遠いドイツの人物でなく日本の人物だったなら、あるいは、19世紀のうちに亡くなった人物でなく21世紀まで存命した人物だったなら、この本にあるような冷静な観察や客観的な議論が、より困難になったことでしょう。しかし遠すぎたり古すぎたりしても、今度は現在の私たちとの関わりを見出すのが大変になります。そういったバランスの中で、ビスマルクは実にちょうどよいところに立っています。

学校で何をどう習うか、職業として何を専門にするかとは別の話として、歴史の勉強はすべての人が何かしらやってみるべきもので、この本はその取っ掛かりにうってつけです。高校生がスラスラ読めるほど簡単な内容ではありませんが「読んでみたけれどわからなかった」という経験だけでも貴重なものです。もちろん、大人の教養書としてもお薦めできます。

フランス現代史(ISBN 978-4-00-431751-7)

今度は「人物」ではなく「国」に着目するタイプの本です。扱う時代が「現代」を含むこともあって、ここで紹介する3冊の中ではやや難しめの本ですが、日本から見たフランスという国の近さと遠さが、やはりちょうどよくつりあっています。上のビスマルクを読んでみて、歴史も面白いなと思った人に、ぜひお薦めします。

イギリス史10講(ISBN 978-4-00-431464-6)

最後はひとつの国に注目して古代から現代までを駆け抜けるタイプの本です。正直なところ、読み物として読むには取っ付きにくいところがありますが、イギリスに関する知識を仕入れるための実用書としてはたいへん便利です。通史とはいっても、全10講で300ページくらいあるうち、4~8講の150ページちょっとを16~19世紀に費やしており、イギリスの時代劇なんかを観たり読んだりするときに、理解を助けてくれます。また英文科への進学が決まった生徒は、入学までの間に大急ぎで読んでおくべき本です。

ここで紹介した本はどれもしっかりした内容のものですが、最初に触れたように、歴史というのは近ければ近いほど新しければ新しいほど微妙で繊細な問題になり、ちゃんと勉強しようと思ったら専門の先生に教わるのが一番です。大学の歴史学科で教わるレベルの授業はともかく、教養科目なり自由科目なりといった名目の講義には、親しみやすいものもきっとあるでしょう。そういう授業を受ける機会は、短大や大学に進学するメリットのひとつですが、以前紹介した放送大学の放送やテキストを活用すれば、自宅で勉強することもできます。

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放送大学の授業と印刷教材
2021.01.25 17:44 | 固定リンク | 本の紹介
英検用の問題集
2021.01.22
左から、英検頻出度別問題集準2級(ISBN 978-4-471-47062-3)と3級(ISBN 978-4-471-47063-0)と4級(ISBN 978-4-471-47064-7)、英検2級リスニング問題120(ISBN 978-4-01-093441-8)
 
まなびやの方針というより私個人の経験上、語学資格としての英検はほとんど評価していませんが、教材としては有用なものです。

英検教材のいいところは、まずなによりもリスニング用のCDが付属している点です。最近になっていわゆる「四技能」というのがさかんに取り上げられますが、各技能が「往復」するように勉強するのが効率的です。つまり、耳で聞かないと話せるようにならない、口で話さないと読めるようにならない、目で読まないと書けるようにならない、という「下から上へ」の学習と、書くことで読んでわかるようになる、読むことで話し方がわかる、話すことで聞き取れるようになる、という「上から下へ」の学習の、両方が大切です。リスニングの教材を聞いて、書き留めて、内容を確認して、自分の口でも言ってみるというのは、ほとんどの生徒が「嫌がる」勉強法ですが、継続すれば絶大な効果があります。

受験勉強の材料としては、選択問題を解く練習になります。学力を身に付けるには選択問題ではなく記述問題(または口述問題)が必要だというのが私の意見ですが、選択問題には特有の「テクニック」があり、勉強時間を抑えたい生徒には「おいしい思い」ができるチャンスになりますし、しっかり勉強したい生徒は早めに習得しておけば後で時間的な余裕が生まれます。現実問題として、実用英語の勉強、受験英語の勉強、学校英語の勉強、英検の勉強はそれぞれ、まったく別物と考えた方がよいくらいかけ離れたものですが、それらを応用し使い回すための心がけや工夫を経験する機会も得られます。この経験は英語以外の勉強や習得にも有用で、たとえば数学にしても、中学・高校・大学でほとんど別のことをやるようでいて、しかし応用はちゃんとできるものです。

話を戻しましょう。英検2級のリスニングは「使い回しは工夫次第」の好例といえます。このあたりから「英検のための勉強」の割合がさらに増え、資格取得だけを目標にすると労力面で不経済になりますが、教材自体はかなり広い範囲の学習に応用できます。たとえば中学生なら「2級のリスニング」は「3級の読解」とほぼ同じ水準の英文になっていますから、解答ページの「書いた英語」を読み解きながら、ネイティブにお手本で読み上げてもらい、自分でも真似て話す練習ができます。また「話す速さ」が絶妙で、ネイティブが「外国人向けに気を使ってゆっくりはっきり話してくれた」ときとほぼ同じペースになっていますから、実用英語を学びたい人が「最初にマスターすべき」目安としても使えます。より進んだ勉強がしたい生徒なら、問題を見ずに音声だけ聞いて、質問されたら英語を口で話して答えるといい練習になります。
2021.01.22 19:19 | 固定リンク | 教材の紹介
新年早々数学の話題
2021.01.21
数学IIIで習う[sin(x)]/xについて、x→0の極限が1になることの説明に数学的な疑義がある、という問題があり、2013年度の大阪大学理系前期日程の第1問に出題されて有名になりました。この[sin(x)]/xは「カーディナルサイン関数」とか「非正規化sinc関数」などと呼ばれるもので、sincは「シンク」と発音する人と「ジンク」と発音する人がおり、一般に「sinc(x)」と書かれます。この問題に関する「インチキな」解法を思いついた、というのが今回の話題なのですが、その前に数学の先生によるちゃんとした説明を紹介しておきます。

関西学院大学 川中 宣明 先生(代数学) による解説
宮城教育大学 瓜生 等 先生(微分方程式論) による解決案
高知工科大学 井上 昌昭 先生(確率論) による解決案
新潟工科大学 竹野 茂治 先生(双曲型保存則方程式) による考察PDF
北海道大学 松本 圭司 先生(特殊関数論)による再構築案
難しい話も出てきますが、この問題は結局「円の面積はπr^2だと言ってよいかどうか(ちゃんと証明していないじゃないか)」という一点にかかっています。

私が思いついた解法にはcos(0)の微分係数を使います。まず原点が中心で半径1の円(単位円)を用意し、円周上に点A(1,0)と点B(cosθ,sinθ)を取ると、角AOBが偏角θをなし、弧ABの長さが弧度になります。ここで微分の定義に従って計算すると、cos'(0)=0すなわち「θ=0から微分小dθの増減があるときcosθは増減しない」が言えて、そのときの点Bが座標(1,sinθ)にあると見なしても誤差は無限に小さいことがわかります。弧ABとは円周上の点がAからBまで動いた軌跡なので「点Aからθが微分小の増減をするとき弧AB=θと線分AB=sinθが一致する」つまりθ→0のときθの極限とsinθの極限は等しく、ゆえにθ→0のとき[sin(θ)]/θ=1といえます。

この証明は厳密さを欠いており、すくなくとも「円の面積はπr^2だと証明もせずに言ってしまった」解答と同じくらい「ダメな」解答なのですが、しかしこれを「間違い」だと言ってしまうと矛盾を認めることになります。つまり、高校数学で習う範囲の微分の知識で本当に「接線が引ける」のなら、上の議論も正しいということになり、この証明が間違っているのだとすれば、高校数学の微分で接線を決定するのも誤りだということになります。微積分を厳密に定義しなければ、円の面積がπr^2だと言えないばかりか、接線を引くこともできない、とも言い換えられます。

大阪大学の受験生にこんな捻くれた回答をした人がいたのかどうか、知る方法はありませんが、もしいたとしたら何点もらえたのでしょうか。円の面積を証明なしで使った回答は、私の予想だと、満点ではないかもしれませんが、かなり高い得点をもらえたのではないかと思います。こうやって眺めてみる分には面白い問題ですが、円の面積を使って解いてから「これって証明できていないんじゃないか」と気付いた(おそらくは試験会場の中でもかなり優秀な)受験生が損をしたかもしれないと思えば、入学試験の問題としては少し配慮に欠けるところがあったかもしれません。
2021.01.21 19:57 | 固定リンク | 雑談

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