勉強中の数学メモ4
2022.01.28
ファジィ論理(0か1かの2値論理でなく、0~1の実数からなる)
P and Q = min(P,Q):最小
P or Q = max(P,Q):最大
not P = 1 – P:補数
クリスプ集合(通常の意味での集合)が特徴関数(0か1を返す)で表現されるのに対し、ファジィ集合はメンバーシップ関数(0~1の実数を返す)で表現される。

ユニタリ行列は随伴行列を左乗しても右乗しても単位行列が得られる行列のこと。実数成分のみからなるユニタリ行列は直交行列と同義で、転置行列と逆行列が等しい正方行列になる。ユニタリ変換や直交変換は線形かつ等長な変換であり、計量ベクトル空間(内積を備えたベクトル空間)に作用させたとき内積を変えない。フーリエ変換は無限次直交変換の代表例で、任意の連続有界な関数を(無限の計算量を以ってすれば)正弦波の線形結合に変換できる。ウェーブレットを用いた音声変換や基底画像を用いた画像変換では、次数をかなり下げることができる。こう考えるとサンプリング(AD変換)も、時間や振幅などに近似精度を制限されながらの直交変換だと見なせそうなのだが、詳しい解説を見つけられなかった。結果的に得るのがデジタルデータ(ほぼベクトルと同義)なのだから、おそらくそうなのだろうと思う。

確率微分方程式はノイズ項(通常はガウス白色ノイズ)が入った微分方程式で、便宜上積分形で用いる。このとき当然、ホワイトノイズの積分(ウィーナー過程)を扱う必要があるのだが、それを系統立てたのが伊藤積分やストラトノビッチ積分。専門的な説明は一橋大学大学院商学研究科 高岡浩一郎先生の公演資料を参照。レッドノイズ(ブラウニアンノイズ)を得るだけなら、ホワイトノイズを離散化(サンプリング)して総和を取るとか、電気回路で積分器に熱雑音を流すとか、素人考えにもいくつか方法が思い浮かぶものの、おそらく「解析的に扱える」ことが重要なのだろう。上の資料だけでも私の理解をはるかに超えており、何の話をしているのかもピンとこないが、より数学寄りの話題については東京理科大学理工学部数学科 平場誠示先生の解説が詳しい。

余談ながら、平場先生はTeXエディタ雅理の作者としても活動されています。ウェブサイトに掲載された最初にという文書にある「大事なのは,色々な考え方ができるということで,数学とはそれを身に着けるための学問だと言っても良いかも知れない」という一節に、共感を覚えます。

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2022.01.28 21:30 | 固定リンク | 配布・公開
学校を選ぶ手がかり
2022.01.14
いつも教室で言っていることですが、社会の情報化が進めば進むほど、有害な情報や有用でない情報の「比率」は上がっていきます。しかしその一方で、有用な情報の量と質も、着実に向上しています。乱暴に言えば「探しさえすれば情報はちゃんとある」時代にかなり近付いたということです。

前置きはこのくらいにして、とくに高校生が進学先を選ぶときに、役に立つかもしれないアイディアを紹介します。正式な名称ではありませんが、ネットで「優秀卒論」というキーワードを検索してみてください。かなりの数がヒットすると思います。具体的な志望校候補があるなら「大学名 卒論」などと検索してみてもよいでしょう。

論文なんて読んでも、学問的な内容は理解できないかもしれませんが、目的はそこではありません。わざわざ公開されている「優秀」卒論というのは、卒業までにこういうことができるようになって欲しい、また実際にできるようになった生徒がいる、という学校からのメッセージだと理解できます。

一昔前は、入試問題こそが「どんな生徒に来て欲しいのか」という学校のメッセージでした。卒論の公開が広まったおかげで、新しい判断材料が増えたのだといえます。ぜひ、活用してみてください。選抜に論文や作文が必要な場合にも、参考情報として役立つでしょう。

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進路とデータ
かなの成り立ち事典
2022.01.14
かなの成り立ち事典(ISBN 4-316-80181-3)

平仮名、片仮名、変体仮名の順に、かなの成り立ちや実用例を紹介する本です。堅実な構成で内容も親切ですが、活躍の場は多くありません。20年くらい前と比べて、こういう図解方式の教科書は進歩が著しく、もっと活用できたらと思います。
2022.01.14 19:30 | 固定リンク | 教材の紹介
ピーターラビット シリーズ
2022.01.05
The Tale of Peter Rabbit (ISBN 978-0-7232-4770-8)

日本で「ピーターラビットのおはなし」として親しまれている本の原著です。いろいろな版が出版されており、まなびやの蔵書にあるのはFrederick Warneのカラー刷りハードカバーです。写真では大きさがわかりませんが、本来の「子供用サイズ」で、閉じた状態で縦14.5cmの横11cmくらいでした。内容はもちろん小さい子供向けですが、英語で読まないと楽しめない要素が多く含まれるので、中学生くらいになってから挑戦するのがいいかなと思います。文学研究の対象としても面白いシリーズで、探してみたところ三重大学の学生さんが卒論のテーマとして取り上げていました。

The Tale of Squirrel Nutkin (ISBN 9798546348298)

こちらは2作目の「リスのナトキンのおはなし」の原著です。中身は普通なのですが、縦23cm横15cm(正確には9×6インチ)のアメリカ式ペーパーバックで、中の挿絵は粗い画質のモノクロ印刷です。出版元の表記がなく、ISBNも変で、問い合わせ先が日本のAmazonになっているので、著作権が切れた作品をただコピーして綴じただけの本なのかもしれません。知名度ではピーターラビットに敵いませんが、私はこの話の方が好きです。

著者のビアトリクス・ポターに関する研究もさかんで、マーガレット・レインの「The Magic Years of Beatrix Potter」(猪熊訳「ビアトリクス・ポターの生涯」ISBN 978-4834001280)やジュディ・テイラーの「Beatrix Potter: Artist, Storyteller, and Countrywoman」(吉田訳「ビアトリクス・ポター」ISBN 978-4834025316)といった評伝が出版されているほか、The Beatrix Potter Society(ビアトリクス・ポター協会)という学術団体まで作られました。日本では埼玉県こども動物自然公園内に大東文化大学の資料館があります。

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図書貸出のお知らせ
-参考外部リンク-
ピーターラビット公式サイト
The Beatrix Potter Society
Books: Beatrix Potter (sorted by popularity)@gutenberg
Great Big Treasury of Beatrix Potter by Beatrix Potter@gutenberg
ビアトリクス・ポター資料館@大東文化大学
2022.01.05 22:51 | 固定リンク | 本の紹介

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