歴史の本
2021.01.25
歴史の本は「当たり外れ」が大きい傾向がありますが、まなびやの蔵書のなかでもとくにお薦めできる3冊を紹介します。

ビスマルク(ISBN 978-4-12-102304-9)

どうしてこの本から紹介を始めるのか、という理由がまず大切です。歴史というのは、古過ぎても物証が乏しくなりますが、一般には「近く新しい」ほど扱いが困難になります。遠いドイツの人物でなく日本の人物だったなら、あるいは、19世紀のうちに亡くなった人物でなく21世紀まで存命した人物だったなら、この本にあるような冷静な観察や客観的な議論が、より困難になったことでしょう。しかし遠すぎたり古すぎたりしても、今度は現在の私たちとの関わりを見出すのが大変になります。そういったバランスの中で、ビスマルクは実にちょうどよいところに立っています。

学校で何をどう習うか、職業として何を専門にするかとは別の話として、歴史の勉強はすべての人が何かしらやってみるべきもので、この本はその取っ掛かりにうってつけです。高校生がスラスラ読めるほど簡単な内容ではありませんが「読んでみたけれどわからなかった」という経験だけでも貴重なものです。もちろん、大人の教養書としてもお薦めできます。

フランス現代史(ISBN 978-4-00-431751-7)

今度は「人物」ではなく「国」に着目するタイプの本です。扱う時代が「現代」を含むこともあって、ここで紹介する3冊の中ではやや難しめの本ですが、日本から見たフランスという国の近さと遠さが、やはりちょうどよくつりあっています。上のビスマルクを読んでみて、歴史も面白いなと思った人に、ぜひお薦めします。

イギリス史10講(ISBN 978-4-00-431464-6)

最後はひとつの国に注目して古代から現代までを駆け抜けるタイプの本です。正直なところ、読み物として読むには取っ付きにくいところがありますが、イギリスに関する知識を仕入れるための実用書としてはたいへん便利です。通史とはいっても、全10講で300ページくらいあるうち、4~8講の150ページちょっとを16~19世紀に費やしており、イギリスの時代劇なんかを観たり読んだりするときに、理解を助けてくれます。また英文科への進学が決まった生徒は、入学までの間に大急ぎで読んでおくべき本です。

ここで紹介した本はどれもしっかりした内容のものですが、最初に触れたように、歴史というのは近ければ近いほど新しければ新しいほど微妙で繊細な問題になり、ちゃんと勉強しようと思ったら専門の先生に教わるのが一番です。大学の歴史学科で教わるレベルの授業はともかく、教養科目なり自由科目なりといった名目の講義には、親しみやすいものもきっとあるでしょう。そういう授業を受ける機会は、短大や大学に進学するメリットのひとつですが、以前紹介した放送大学の放送やテキストを活用すれば、自宅で勉強することもできます。

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2021.01.25 17:44 | 固定リンク | 本の紹介

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