キャッツ
2020.08.01
左から、英語版(ISBN 978-0-15-168656-8)、池田訳(ISBN 978-4-480-03137-2)、朗読(ISBN 978-0-571-27164-1)
 
いわゆる児童文学の紹介を続けていますが、いよいよ韻文が出てきました。ミュージカル「キャッツ」の原作として有名な詩集で、英語版は1982年のゴーリー挿絵、日本語訳は1940年のベントリー挿絵を掲載しています。

原著の英語はそう難しいものではなく、各出版社や書店の分類で「7~10歳向け」「8~12歳向け」「4~8歳向け」「14~16歳向け」とばらつきが大きいのは、詩としてしっかり読むなら中学生、たんに「お話」として読むなら小学生、大人が読み聞かせるなら就学前くらいが対象になる、と捉えておくのが妥当でしょう。朗読は明瞭かつ落ち着いた読み方で、聞き取りやすく模範的な発音です。

しかしネイティブでない人がこの本を自然に楽しむのは、日本人の場合高校までの英語教育で韻文をほとんど扱ってくれないハンデもあって、そう簡単ではありません。私自身、まず文字だけで(もちろん辞書を引きながら)読んで、朗読を聞きながら読んで、自分で声を出して読んで、くらいの手間はかけないと、さっぱり頭に入ってきません。だからこそ「自分は英語がちっともわかっていないな」ということを、誤魔化しがきかない形で再確認できます。

日本語訳はちょっと変わったスタイルで、原文を読むときの参考資料として使えるように配慮されています。脚注と後注が入り混じっていたり、レイアウトが改められていたりと変則的なところがあるものの、読者の手助けとしてありがたい構成です。

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2020.08.01 16:02 | 固定リンク | 本の紹介

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