おくのほそ道
2020.09.15
左から、おくのほそ道(付 曾良旅日記 奥細道菅菰抄)(荻原校注)(ISBN 4-00-302062-6)、芭蕉俳句集(中村校注)(ISBN 4-00-302063-4)、芭蕉七部集(中村校注)(ISBN 4-00-302064-2)、芭蕉雑記・西方の人(芥川)(ISBN 4-00-319021-1)
日本文学の最高傑作「おくのほそ道」と、俳句集ならびに俳諧集、芥川による評論「芭蕉雑記」です。
現代の日本人がなぜ古文を習うのかといえば「おくのほそ道」を読むためです。異論反論がどれだけあったとしても、私の意見は変わりません。この本を読んで、楽しみ、芭蕉というのは凄い人だなと理解できたなら、たとえ学校の古文のテストが何点であったとしても、その人はしっかりと古文を学べていますし、古文を習った甲斐は十分にあったと言い切れます。
いきなり古典を読み始めるのは踏ん切りがつかない、という人は、写真右で紹介している芭蕉雑記から読んでみるのもよいでしょう。実のところあまり読みやすい解説ではありませんが、芭蕉の凄味をこれほど的確に紹介している評論は他にありません。芥川が自ら「指物師」と称した、なにか変わったことを言ってやろう、面白いことを書いてやろうとしすぎる悪癖がいたるところに見られるものの、内容は素晴らしいものです。
おくのほそ道は国語の教材として見ても、伝統的な作法での読書というと大げさですが、注を参照しながら読み進めることの体験にうってつけです。上で紹介した岩波版は菅菰抄も収録していますが、本格的に読むなら2冊用意して並べてもよいでしょう。そもそもの話として、文学作品を教材にするなら、文学史上の位置付けがどうだとか、当時の社会的な意義がこうだとかいう話の前に、文学作品として中身があるものでないと本末転倒だろうというのが私の意見です。
なお本文の解釈にも諸説ありますが、平成八年の自筆本(いわゆる中尾本、真贋の議論は未決着)以降よく言われる、五十韻形式(懐紙1枚目の表に八句、裏に十四句、2枚目の表に十四句、裏に十四句で一巻五十句に、名裏の六句を加える)と謡の構成(序・破・破・破・急)を意識しているという見方が自然に思えます。
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-参考外部リンク-
おくのほそ道@Wikisource
芭蕉雑記@青空文庫
続芭蕉雑記@青空文庫
面八句を庵の柱に懸置@夕立鯨油
日本文学の最高傑作「おくのほそ道」と、俳句集ならびに俳諧集、芥川による評論「芭蕉雑記」です。
現代の日本人がなぜ古文を習うのかといえば「おくのほそ道」を読むためです。異論反論がどれだけあったとしても、私の意見は変わりません。この本を読んで、楽しみ、芭蕉というのは凄い人だなと理解できたなら、たとえ学校の古文のテストが何点であったとしても、その人はしっかりと古文を学べていますし、古文を習った甲斐は十分にあったと言い切れます。
いきなり古典を読み始めるのは踏ん切りがつかない、という人は、写真右で紹介している芭蕉雑記から読んでみるのもよいでしょう。実のところあまり読みやすい解説ではありませんが、芭蕉の凄味をこれほど的確に紹介している評論は他にありません。芥川が自ら「指物師」と称した、なにか変わったことを言ってやろう、面白いことを書いてやろうとしすぎる悪癖がいたるところに見られるものの、内容は素晴らしいものです。
おくのほそ道は国語の教材として見ても、伝統的な作法での読書というと大げさですが、注を参照しながら読み進めることの体験にうってつけです。上で紹介した岩波版は菅菰抄も収録していますが、本格的に読むなら2冊用意して並べてもよいでしょう。そもそもの話として、文学作品を教材にするなら、文学史上の位置付けがどうだとか、当時の社会的な意義がこうだとかいう話の前に、文学作品として中身があるものでないと本末転倒だろうというのが私の意見です。
なお本文の解釈にも諸説ありますが、平成八年の自筆本(いわゆる中尾本、真贋の議論は未決着)以降よく言われる、五十韻形式(懐紙1枚目の表に八句、裏に十四句、2枚目の表に十四句、裏に十四句で一巻五十句に、名裏の六句を加える)と謡の構成(序・破・破・破・急)を意識しているという見方が自然に思えます。
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