読書感想文は怖くない 前編
2021.11.04
みんなが大嫌いな読書感想文ですが、仕組みさえわかっていれば恐れるようなものではありません。まず真っ先に知って欲しいのは「感想自体に点数を付けられるわけではない」ということです。感想に優劣があって「あなたの感想は何点」と評価を下すなどということは、いわゆる権威主義とか全体主義といった体制の国にはそういうことをしている所があるのかも知れませんが、普通の国の普通の教育機関がやるようなことではありません。だから「いい感想が書けないんじゃないか」という不安は最初から的外れなもので、捨ててしまってよいのです。

では何を評価するのかというと、まずは「提出する」ことです。これは当然のようですが、決められた日までに決められた形式で出すということは、誰でも簡単にできるほどやさしくはありません。残念ながら大学生になっても、提出物さえしっかり出していれば誰でも合格をもらえる授業で、単位を落とす人はいなくなりません。次に大切なのは「ちゃんと読んだ」かどうかです。もちろん家まで付いて行って読んでいる現場を確認するわけではないので、いかにも「ロクに読んでいない」感じの内容になっていなければそれで十分です。わざわざこの2つを書いたのは「最初のハードルは低い」のだということを、知って欲しいからです。

では読んで書いて出せばいいのかというと、それだけで「赤くない点数」をくれる先生もいるかもしれませんが、日本語の質に気をつけると、高い点数を取りやすくなります。中学生なら、習った漢字を正しく使って、意味が通じないところができないように注意して書けば、そこそこの評価はもらえるはずです。提出日よりも早めに書き上げて、1日以上寝かせてから見直しをすると、効率よく修正できます。高校生は「正しい書き言葉」が目標です。以前紹介したやさしく語る小論文くらいの内容を押さえておけば、困ることはないでしょう。

さてしかし、点数に結び付きにくいとはいっても、せっかく書くのだから中身もある方がいいに決まっています。ただし「本当に中身のある自分独自の意見」なんてものが必要だと考えてはいけません。修士論文(一般に大学院の2年生が卒業のために書く)にさえ、そんなものは求められません。では何が必要なのかというと、本を「読んでどう考えたのか」よりも先に、まずは「どう読んだのか」です。年齢相応の「読み方」というのがあって、それができていることをアピールすればよいのです。そのときに、何が「同じ」で何が「違う」か、どこが「似て」いてどこが「似ていない」か、という意識が大切になります。

後編に続きます。

- CafeLog -