分極と交流
2021.12.22
とくに高校生相手の相談で、進路を決めるということは、何年かの間「住む場所」を決めることでもある、ということをよく話します。もちろん、習得したい技能だとか必要になる費用だとか、他にもっと重要な事柄があるのは間違いありませんが、住む場所によって得られる経験というのも見過ごせない要素でしょう。

私個人としては、田舎の人には都会の暮らしを、都会の人には田舎の暮らしを体験してみて欲しいという願いがありますが、もっと大切なことはそれを「選ぶ」意識だと思っています。ずっと同じ場所で暮らすのだとしても、世の中に「ここ」とは違う場所があるらしいことを知ったうえで、自分で材料を得て選んだ結果であれば、そうでない場合とはおのずと違いが生まれてくるだろうという確信があります。

情報の伝達はどんどん速く容易になっていますが、一方でいろいろな分極が進んでいます。都会と田舎、若者と老人、金持ちと貧乏人、男性と女性、日本人と外国人、他にもまだまだあるでしょう。格差とか分断といった否定的な言葉が使われることもありますが、世の中が多様になれば、小さいグループで固まりたい心情が強くなるのは自然なことです。そういう傾向が進めば進むほど、高くなってしまった「隔たり」を越えなければならない機会も増えます。自分自身も「選んだ結果」として今ここにいるのだ、という認識がもしあれば、大きな助けになるに違いありません。
2021.12.22 19:52 | 固定リンク | 雑談

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