勉強中の数学メモ2
2021.05.22
イプシロンデルタ論法は一見面倒そうだが、ようするに、高校数学でいう「Δx」を無限に小さく「できることを保証」するための方法論である。

微分をライプニッツの記法で書いたときのdy/dxはもともと「Δy/ΔxについてΔx→0の極限を取ろう」という意図で、次元を意識しないときは「微分小」とか「無限小変分」などと呼ばれる。これを正確に理解するには外微分の知識が必要になり、本格的な数学にほんの少しだけ足を突っ込むことになってしまい、それはそれは恐ろしく大変なことになる。どうしても知りたい人は下記を参照。
http://www.math.titech.ac.jp/~kawahira/courses/kiso.html
http://sshmathgeom.private.coocan.jp/diffgeom/tangentvec.pdf
https://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~ishikawa/kikaA08/08-kikaA-hosoku2.pdf
全微分(ないし一次微分形式)をこのように書く、という知識のところで立ち止まるのも方便ではないか。

高校範囲の知識でなんとなくのイメージが得られないか、と考えてみたところ、多変数関数を扱うときに意味が出てくる概念なのだから、変数を増やせばよさそう。ということで媒介変数関数の微分公式をイメージするのはどうだろうか。x=f(t)かつy=g(t)ならばdy/dx=g'(t)/g'(t)というアレである。ライプニッツの記法とラグランジュの記法を混ぜて書くのは奇妙だが、こうすると「dx=g'(t)なのかな」というイメージが、なんとなく沸いてくるような気がする。またyをxで2階微分するのをライプニッツの記法でd^2y/dx^2と書くが、これはd(dy/dx)/dxという風に繁分数で書いた方が誤解が少ないのではないか。こうしておけば、媒介変数表示でdy/dx=h(t)=g'(t)/g'(t)となっているときのd(dy/dx)/dx=[d(dy/dy)/dt]*[dt/dx]なんかも、より自然に理解できるように思う。

n個の変数X=(x1,x2...,xn)が像F=(f1,f2...,fm)をなし(どちらも列ベクトルとして考える)、すべてのfiがxjで偏微分可能なとき、i行j列が∂fi/∂xjとなる行列を、多変数ベクトル値関数Fのヤコビ行列という。全微分を与える表現行列だと見ることもできるし、Fの要素の勾配ベクトルを行として縦に積み上げたと見ることもできる。

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