マルケスとフォークナー
2021.06.25
左から、予告された殺人の記録(ISBN 978-4-10-205211-2)、エレンディラ(ISBN 4-480-02277-5)
 
南米文学といえばこのマルケス調というくらい流行した、ガルシア=マルケスの中編と短編集です。この著者の作品としては「百年の孤独」の方が有名ですが、何年も前に手放してしまって以来、買い戻す機会に恵まれていません。文庫版がなくやや高価なので、古本屋で見つけても「もう少し安く出ることがあるかも」と、セコい考えに押し切られてしまいます。

フォークナー短編集(ISBN 978-4-10-210203-9)

フォークナーはマルケスよりも30年くらい前の人で、作品を埋め尽くす閉塞感や翻弄感がどこか似ています。思えば、日本にとってもっとも親しい国であるはずなのに、私たちはアメリカの歴史や社会についてあまり大きな関心を払っていません。フォークナーを読めばアメリカがわかる、というのはちょっと短絡的すぎますが、アメリカを知りたい人が前もって読んでおくには格好の作家です。

3冊ともかなり「刺激が強い」本で、残酷な描写も遠慮なく出てきます。私も高校生に勧めようとは思いませんが、年を取りすぎるとこういう異質さに溢れた世界を見る目が鈍くなってくるので、大学生くらいの時期に読むのがちょうどいいのかなと思います。フォークナーは50年、マルケスは82年にノーベル文学賞を受賞した大作家なので、いまさら私が褒めても何の足しにもなりませんが、彼らのように「伝えるべきもの」を持った作家の力強さには、驚嘆しかありません。

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