勉強中の数学メモ1
2021.05.22
このところ少し数学の勉強をしていて、備忘録的にメモっておいたことや、なんとなく思いついたことなどを書き溜めるうちにけっこうな分量になったので、物の役には立たないでしょうが公開してみます。あくまで勉強中のメモで、どの程度正しい理解なのか私は知りません。

Aを行列、xとbを列ベクトルとして
A*x=bならば
A^-1*A*x=A^-1*b
x=A^-1*b
という演算ができる。線型方程式がn個の変数を持ちn本の一次方程式からなるとき、それらを行列表示したものをAとすると正方行列になるが、Aが正則である(逆行列をもつ)ならば、ベクトルxのi番目の成分xiは、Aのi列をbに置き換えた行列をAiとして、
xi=det(Ai)/det(A)
と一意に解くことができ、クラメールの規則とかクラメルの公式などと呼ばれる。

A^-1を求めるとき、実用上は掃き出し法などの方が計算量の増加が穏やかだが、余因子展開の方が原理がわかりやすい。Aのi行めとj列めを除いた行列をAijと書き、余因子Δijを
Δij=(−1)^(i+j)*det(Aij)
と定義する。この余因子を要素とするi行j列の行列をA^(流儀によってはC)、それを転置したものをA~(余因子行列)として、ライプニッツの明示公式から行列式の多重線型性を確認すれば、
A^-1=(1/det(A))*A~
が成り立つことがわかる。

n個の関数(実関数でも複素関数でもよい)f1,f2...,fnが区間I上でn−1階微分可能とするとき、f1の0~n-1階微分を縦に並べた列ベクトルf1(x),f2の0~n-1階微分を縦に並べた列ベクトルf2(x)...,fnの0~n-1階微分を縦に並べた列ベクトルfn(x)を横に並べて作った行列(i行j列成分が、fjのi-1階微分になる)の行列式をロンスキー行列式W(f1,f2...,fn)という。ロンスキー行列式(ロンスキアン)が「恒等的に0」でないとき、f1,f2...,fnからなる関数族は線形独立な解をもつ。厳密な証明はさておき、拡大係数行列で連立方程式を解く操作を確認すれば、おそらくそうなのだという納得はできよう。関数族が線形従属である条件は難しいようで、ペアノなどが考察を与えているらしい。

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2021.05.22 23:18 | 固定リンク | 配布・公開
文章読本
2021.05.01
左から、文章読本(谷崎)(ISBN 4-12-200170-6)、文章読本(三島)(ISBN 978-4-12-206860-5)、文章読本(丸谷)(ISBN 4-12-202466-8)
 
同じタイトルで著者が異なる本が3冊並んでいますが、このほかにも「文章読本」(ぶんしょうとくほん)と称するものは多数あります。中身はそれぞれ異なり、名前だけでわかるのは「文章について書かれた本」だということだけです。

実物を手に取ってみればわかる話をくどくど引っ張っても仕方ないので、ごく大雑把に言ってしまえば、文章読本というのは「(日本語の)文章はこう読んでこう書くのがよいだろう」というコツや心得や練習法をまとめた本です。3冊とも著名な小説家が書いたもので、文学的な文章を中心に取り上げていますが、文学的でない実用の文章も無視してはいませんし、ある程度は文学的な文章に親しんでいないと実用文章も結局のところ上手には書けません。

この手の本を初めて読む人が親しみやすそうなのは谷崎の文章読本で、解説書というよりは概説書、日本語が持つ特徴や歴史などを紹介しつつ、文章に対する興味と関心を喚起する内容です。手強いのは丸谷の文章読本で、英語や漢文の引用も多く、ページ数も谷崎の本の倍以上あります。高校生に読めないほど難解な本ではありませんが、受験が終わってからゆっくり読んだ方がよいだろうと思います。三島の文章読本は、少し意外ですが、現代の大人が教養書として読むには、3冊の中でいちばん「当たりが軽そう」な内容です。読み物として面白く、教科書で勉強しているような気分にさせないのが長所です。

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2021.05.01 00:48 | 固定リンク | 本の紹介
理科の実験について考えたこと
2021.05.01
何度も紹介している放送大学の番組ですが、私もビデオに録画してはいつも観ていて、ふと理系の科目の実験の面白さに気付きました。自分自身について思い返してみると、小学校から高校まで、理科の実験というのはあまり好きではありませんでしたが、放送大学の番組で紹介される実験はどれも楽めています。

そこで、あくまで私一人の体験が基準ではありますが、面白い実験というのはどういうものなのか、少し考えてみました。もちろん、スタジオで録画した授業を放送するという放送大学の仕組みや、おそらく中学校や高校よりは豊富に使えるであろう予算や装置や人員の恩恵もあるのでしょうが、実験の中に「わからなさ」が巧みに組み込まれているのも特徴なのではないかと思います。

中学高校の理科の実験は、作業を安全に実施したり結果を損なわない工夫をしたりという「実技」の側面ももちろん重要ですが、基本的には習ったことが実際そのとおりであることを「確認」することに力点を置きます。放送大学の実験も、とくに化学系の教科では確認を主目的とすることがほとんどですが、私の見立てでは、実験を行うタイミングに特徴があります。ひとまず机上で習ったことが、なにしろ大学の先生が教えている話なので正しいに違いないと頭ではわかっていますが、まだ腑に落ちず疑わしく思っている段階で「実際こんなことが起こりますよ」という見せ方が多いのです。

もちろん、しっかりと段階を踏んで、座学の内容を理解してから実験に移るのがいけないわけではありません。しかしそのバランスをあえて崩し「わからなさ」を持ったまま実験に臨むこと、実験をした後にも「わからなさ」を残して次の興味につなげることが、難度は上がりますがより高い効果を望めるやり方なのでしょう。

まなびやも学習塾としては「実演して見せる」教え方が多めで、教室にも虫眼鏡やらタコ紐やらトランプやらの小道具を用意していますが、より効果的な活用をもう一度考えてみたいと思います。

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デジカメ購入
2021.04.16
前回の記事から、写真撮影をウェブカメラの静止画機能からコンパクトデジタルカメラに変更しました。あまり変わった感じはしないかもしれませんが、撮影している本人としてはかなり鮮明さが増したつもりになっています。

これまでと勝手が異なるのが照明で、ウェブカメラは離れた場所に置いたまま使えましたが、デジカメは手で持って目で覗かないと撮影できないので、机の上の本を撮ろうとするとどうしても影ができます。するとフラッシュを焚くことになるのですが、光沢のある本だと全体に白っぽい雰囲気になりがちです。この辺の加減はどうしたものなのか、しばらく試行錯誤が必要そうです。
2021.04.16 14:22 | 固定リンク | 雑談
トールキンの2作
2021.04.12
ホビットの冒険(瀬田訳)(ISBN 4-00-114058-6、4-00-114059-4)

いわゆるファンタジー小説の古典ともいうべき、トールキンの「The Hobbit」です。

とても年寄り臭い物言いで自分でも少し切ないのですが、現代の子供たちにもこういう本は読んで欲しい、と願わずにいられません。いつも目にしているのとは違う世界に出会って、自分の尺度を手放すことも貼り付けることもせず、そこに何があるのか探ろうとするのは、大人にとっても簡単なことではありません。しかしこの物語には、そういった努力に応えるだけの力強さがあります。

指輪物語(瀬田・田中訳)(ISBN 4-566-02371-0)(ISBNは9巻セットのもの)

同じトールキンの「The Lord of the Rings」です。ホビットの冒険からは続き物になっている建前ですが、後から入れた修正も多く、私は別物と考えた方がスッキリすると思います。前作から分量も増え、内容も少し複雑になっています。

映画が有名になったのでそちらだけ見た人もいるかもしれません。私も観ましたが、なかなか迫力がある映像でした。本の方はかなり微妙なバランスで、こういうのこそが大好きだという人と退屈だと感じる人に二極化する傾向があるようです。まなびやの蔵書は無料で誰にでも貸し出していますから、それぞれが手に取って自分で確かめればよいだけの話ではありますが、作者が少し頑張りすぎたのかなというのが私の印象です。

-追加-
この記事を公開した後、上記2作の原著合計4冊のセット
The Hobbit and The Lord of the Rings (ISBN 978-0-00-752551-5)
を入手しました。

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ナルニア国物語
2021.04.12 13:54 | 固定リンク | 本の紹介

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